楽しい貧乏なDIY:すのこでベッドを作るんだ
ベッドというのは部屋に鎮座して存在感を放つ家具界のエースで、貧乏人のあこがれである。ベッドが高くて買えないという貧乏人でも市販のすのこをちょこっと加工すれば安くて簡単にベッドをDIYできるので、作り方を紹介します。
●準備するもの
・すのこ4-6枚
すのこは同じ大きさのものを体格や用途に合わせて4-6枚買う。すのこの板の隙間は狭いほうがベッドとして使いやすい。私は84cm×30cmの杉のすのこを4枚使っているけれど、一人で寝るぶんにはこれで足りる。
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・隙間テープ
すのこの横ずれ防止と、フローリングや畳に傷がつかないようにするために隙間テープを使う。100円ショップの隙間テープで十分だけれど、耐久性があるものを選んだほうがよい。私はクッション部分がしっかりしたEVA樹脂になっている6メートルの隙間テープをキャンドゥで買った。
必要な隙間テープの長さは、すのこの横幅×すのこの足の数×すのこの枚数で計算できる。私は横幅30cm、足の数4本、すのこの枚数4枚で、30cm×4×4=480cmが必要で、6メートルの隙間テープひとつで足りた。
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・紙やすり
100円ショップで売っている木材用の紙やすりでよい。目が細かい紙やすりほど仕上がりが滑らかになる。
・すのこの上に敷くもの
すのこの上に直接寝ると板の隙間の部分が背中に当たってごつごつするので、布団かマットのようなものを敷くほうがよい。厚みがある敷物ならすのこの隙間は気にならなくなる。
●自作すのこベッドの作り方
1.すのこに紙やすりをかける
普通のすのこは押し入れ用として売られていて、ベッドとして使われることを想定していない。安いすのこだと使われている木が安物で加工も粗かったりするので、木がささくれだっていることがある。まずはベッドとして使って直接肌が当たってもケガをしないように、すのこの端や角の部分にやすりをかけてささくれを取って肌触りをよくしておく。
2.すのこの裏側に隙間テープを張る。
すのこを裏返したら、足の部分に隙間テープを張る。隙間テープがあるのとないのとでは自作すのこベッドの安定度合いがまったく違う。隙間テープは実際にすのこベッドを使い始めて体重がかかるとぺしゃんこに潰れるけれど、それでもある程度クッション性と防音性があるし、床に傷がつきにくくなるので、隙間テープは必ず使うほうがよい。隙間テープこそ普通のすのこをすのこベッドにクラスチェンジさせるキーアイテムである。
3.すのこを並べる。
縦に並べるか横に並べるかは好みの問題なので好きにすればよい。私は縦に2×2で並べている。
4.すのこの上にマットや布団を敷く。
これは布団でなくても自分の好きなものを敷けばよい。キャンピング用の折り畳みマットでもよいし、一畳用のい草マットやカーペットでもよい。私は空き地で「ご自由にお持ちください」と置いてあった座布団を拾ってきてすのこベッドに敷いて使っている。
●自作すのこベッドのメリット
・安い
ベッドは家具の中でも一番高い部類で、かさばるし処分も大変なので、気軽に買えるものではない。しかしすのこベッドなら数千円で足りる。例えばニトリの「多目的ひのきスノコ5枚板」を4枚使ってすのこベッドを作っても、1290円×4枚で5160円しかかからない。ホームセンターで売っている1枚500円くらいの杉のすのこなら4枚で2000円である。市販のすのこベッドを買うよりも安上がりである。
・模様替えや引っ越しが簡単にできる
女性でも一人で持ち運びできるので、ロフトにも簡単に設置できる。普通のベッドではまねできない機動性の高さである。
あるいは急に友達が泊まることになって寝る場所がないときに、すのこベッドを廊下や台所に設置して寝る場所を増やしたりもできる。床にじかに布団をしくのは嫌だという人でもすのこベッドがあれば安心である。
・拡張できる
市販のすのこベッドはたいてい折り畳み式でサイズが決まっていて、そのせいでかえって使い勝手が悪かったりする。しかし自作すのこベッドなら、すのこを好きな数だけ縦に並べたり横に並べたりして自由に広さを拡張できる。L字型すのこベッドみたいな変則的なものも簡単に作れる。
・湿気がたまらない
冬はフローリングにじかに座布団を置いて長時間座っていると、座布団に湿気がたまって湿ったり、カビがはえたりする。私は在宅で仕事をしているので、これが結構悩みどころだったけれど、すのこベッドで湿気の問題が解決したのである。
私は冬にこたつの下にすのこベッドを置いてこたつで仕事をして、眠くなったらそのままこたつで寝ていて、長いときは一日のうち23時間くらい同じ場所に座っているけれど、すのこベッドのおかげで座布団や床に湿気がたまらなくなった。寝る人だけでなく、長時間座り仕事をする人にもおすすめである。
・掃除が簡単
普通のベッドの下の部分を掃除するのはなかなか大変で、ベッドの奥に掃除機が届かなかったりする。しかしすのこベッドはすのこを一枚ずつひっくり返して簡単に掃除できる。
・ベッドから落ちてけがをする心配がない
すのこは高さが数センチしかないので、寝相がわるくてもベッドから落ちてけがをしないですむ。
・疑似小あがりになる
和室の片隅にフローリングの小あがりが欲しいときはすのこを並べて木目調マットを敷けば洋風の小あがりっぽくなるし、洋室の片隅に畳の小あがりが欲しいときはすのこを並べてい草マットを敷けば和風の小あがりっぽくなる。工事費用をかけずに内装を変えることでちょっとした気分転換になる。ブロック風の発泡スチロールをすのこの下に置けば段差をちょっと高くすることもできる。
・外でも使える
例えば大地震が起きて家の中で寝るのは危ないというときに、すのこを庭に持ち出せばすぐにすのこベッドを設営できるし、テーブル代わりにもなる。でこぼこした地面で寝るよりストレスがかからないし、すのこの足が数センチ高くなっているぶん雨が降っても浸水しないので安心である。
私はキャンピングカーを持っていないのですのこベッドが車中泊やキャンプに使えるかどうかはわからないものの、キャンピングカーやテントで寝泊まりしている人で寝ているときの背中の通気が気になる人はすのこベッドを試してみるとよいかもしれない。
・すのこベッドがいらなくなったら普通のすのことして使える
すのこベッドを作ってみたけどやっぱり合わないや、という場合でも普通のすのことして押し入れやベランダで使えるので無駄にならない。引っ越すことが確定している学生や転勤族の人は、ベッドで寝たいけどかさばるのは嫌だという場合にまずは自作すのこベッドを試してみるとよい。
・すのことしていらなくなったらDIYの材料に使える
すのこは板のサイズがそろっているのでDIYの素材として使い勝手がよい。すのこの形のまま加工して棚やベンチにしてもよいし、板をばらして他のものを作ってもよい。
・処分が簡単
自治体によるけれど、普通のベッドを捨てる時は粗大ごみとして処分費用がかかる。しかしすのこならのこぎりで小さく切れば燃えるゴミとして捨てられる。あるいはキャンプで薪として使ってもよいかもしれない。
●自作すのこベッドのデメリット
・貧乏くさい
他人に見られたらちゃんとしたベッドも買えないほど貧乏なのかとドン引きされるかもしれない。しかし貧乏人の家をわざわざ訪ねる人はいないので、これはたいしたデメリットではない。
・一人用
一人で静かに寝るぶんには問題ないものの、体重が重い人だとギシギシ音がするかもしれないし、男女がすのこベッドの上にのってギシギシ運動するような用途には向いていない。しかし貧乏人の家をわざわざ訪ねる人はいないので、これはたいしたデメリットではない。
・こまめに掃除が必要
すのこの板の隙間から抜け毛が落ちたり、すのこの下の部分に部屋の埃が吹き寄せられて堆積したりして、けっこうごみがたまる。しかしすのこベッドは掃除しやすいので、メリットとデメリットが相殺しあう感じ。
・使っていくうちにすのこがずれる
ただすのこを並べただけだと、使っていくうちにすのこがずれていく。神経質な人はこのずれが気になるかもしれない。ずれるのが気になる場合はDIY用の金具で固定したり紐で縛ったりするとよいけれど、全部固定してしまうと掃除しにくくなるので、私はすのこを固定しないで、掃除のついでにずれを直している。
●まとめ
市販のすのこをちょこっと加工した自作すのこベッドは一万円以下で、作業時間は30分程度で一人で簡単に作れるし、模様替えも簡単にできる。メリットが多い割にデメリットは少ないので、貧乏でもベッドがほしい人はすのこベッドを作ってみるとよいですよ。