三角猫の生態

楽しく貧乏に暮らすための工夫とか節約術とかを書いています。

楽しい貧乏な趣味:貧乏でも旅行がしたいんだ

旅行というのはお金がかかる。交通費、食費、宿泊費がかかるし、仕事も休まないといけない。旅行の思い出を記録しようと思ったらいいカメラが必要だし、お土産をたくさん買おうと思ったら大きなキャリーバッグも必要になる。それゆえに旅行というのは中産階級以上の小金もちに許された趣味なのである。世界的な旅行ブームはしばしばおきていて、第一次世界大戦後はアメリカが繁栄してパリがアメリカ人旅行者であふれたし、最近は中国が経済成長して世界中の観光地に中国人旅行者があふれるようになった。円安で外国人旅行者が日本にわんさか来る一方で、可処分所得が下がっている日本人は旅行離れしているそうな。

貧乏な人は交通費を節約するために無駄に家と職場を往復するだけになりがちで、視野が狭くなりがちである。しかし貧乏人にもできる旅行がある。徒歩と自転車での日帰り旅行である。

●貧乏人におすすめの日帰り徒歩・自転車旅行

・装備

スマホ、サイフ、水筒、タオル、ティッシュ、折り畳み傘、おやつまたは弁当。ボディバッグやトートバッグのような片方の肩にかけるタイプのバッグだと肩がこるので、両肩に均等に負荷がかかるリュックのほうが便利。
徒歩で長距離歩くのが心配な人は履きなれた靴を使って、まめ用に絆創膏も持っていくとよい。自転車の場合は小さい空気入れを持っていくと途中で空気が抜けているのに気づいてもなんとかなる。途中で捻挫したり自転車が壊れたりすることもあるので、電車やバスやタクシーで帰れる程度の現金は持っていったほうがよい。

・目的地の決め方

帰りは疲れているし道に迷うこともあるので行きの1.5-2倍の時間がかかると計算すると、片道2時間程度の距離なら朝9時に家を出ても夕方には帰ってこれる。徒歩なら時速3-4km/hと考えて6-8km程度、自転車なら時速10-15km/hと考えて20-30km程度の距離が日帰り貧乏旅行の目的地になる。出発地点は自宅でもよいし、どこかの駅やバス停でもよい。最初は目的地までの距離を短めに設定して、往復3時間程度で体力に余力を残して帰ってこれるようにして、慣れてきたら目的地までの距離を長めにするとよい。目的地に行くことにこだわらずに、疲れたら引き返すのが大事である。

・楽しみ方

目的地を決めたら地図を見ずに行くのである。太陽の方角や看板や電信柱にかかれた番地を頼りにして、目的地につかなくてもいいやというくらいの適当な感覚で進んでいくと、視覚や聴覚が研ぎ澄まされて非日常を楽しめる。あえて目的地へのルートを設定しないことで、裏道で偶然おしゃれな店を見つけたり、面白い看板を見つけたり、変な動植物を見つけたりして、旅行ならではのセレンディピティ的な体験ができる。適当に歩いていると二度と同じ道を辿ることはないので、近所を散策するにしても毎回新しい冒険に出かける気分を味わえる。適当に歩いて本当に道に迷ってしまって帰れなくなると困るので、最終手段として地図アプリを使えばよい。私は「おさんぽまっぷ」というアプリが気に入っていて、地図上に通ったルートが表示されるので、行きは適当でも帰りは違う道を通ってちゃんと帰ることができる。

東京のような都市部なら隣の区に行くだけでも十分面白い。路線価が違うと町並みも違っていて、戦前からあるような町では道路が狭くて小さい家が並んでいて狭い駐車場ぎりぎりに車を停めていたり、通勤に使われるような路線沿いは巨大な団地が並んでいたり、郊外には豪邸があったりする。ペンシルハウスやら二世帯住宅やら狭小住宅やらデザインが様々で車の種類も豊富なので、家や車を眺めるだけでも面白い。
自宅から数キロ圏内には何もないという田舎なら、雑木林を探索して動植物の写真を撮ったり、釣りポイントを開拓したりして、アウトドアごっこをすればよい。

・寄り道ポイント

貧乏徒歩旅行のおこづかいの予算が500-1000円だと、初めて行く商店街のパン屋でパンを買ったり、肉屋でコロッケを買ったりして、ふだん買い物している近所の店とは違う味を発見できる。スーパーを開拓して品揃えをチェックするのもよいけれど、荷物になるものは買い物しないほうがよい。住宅街には一定間隔で公園があるので休憩するのにちょうどよいし、水筒に水を補充できる。神社は駅のそばや町の中心部にあって記憶に残りやすくて次に訪ねるときの目印になるので、セーブポイントとして寄り道するとよい。都民の日には都内の一部の施設や庭園が無料になるし、動物園や水族館は開園記念日に無料になったりするし、芸術系の大学だと卒業制作の発表とかで無料の展示があったりするし、小さいギャラリーで無料の個展とかもあるので、こういう無料で入れる施設に寄るのもよい。帰りに銭湯に寄って疲れをとるのもよい。行った場所でグーグルマップに口コミや写真を残しておくと次に行くときの目安になる。

・観察をするべし

気になった動植物をすぐ観察できるのは徒歩旅行ならではのメリットである。野鳥の撮影とか昆虫採集とか野草の名前を調べるとか雲の写真を撮るとかの自然観察でもよいし、駐車場にどの車のメーカーが多いのかとかすれ違う人は何色の服を着ているかとかを調査するのもよい。徒歩だと景色の変化がゆっくりなので畑とか団地とか工場地帯とかで同じ景色が続いたりして飽きやすいけれど、単に移動する以外の目的をつくることで飽きにくくなるし観察眼が磨かれる。

私は外出したときに見かけた野良猫の数をカウントしている。日中は猫はあまり活動していないけれど、夜明け前はよく猫がなわばりを巡回している。私は朝の1時間の散歩で野良猫を12匹みつけたことがあるし、運がいいと猫の集会に参加できる。子猫は臆病なのですぐ逃げるか好奇心旺盛でじゃれついてくるか両極端だけれど、親猫は人馴れしていて撫でると喜ぶようである。飲み屋街だと酔っ払いのげろを野良猫が食べていて、野良猫の食べ残しはスズメがついばんでいた。都会の生態系は奇妙なものである。