三角猫の生態

楽しく貧乏に暮らすための工夫とか節約術とかを書いています。

楽しい貧乏な食事:料理の初心者が自炊を始めるときのコツ

さて大学の入学シーズンなのである。私は家庭科の授業で数回料理をしたことがある程度で、特に料理の知識もないまま大学で一人暮らしをして自炊するようになった。はじめは失敗が多くてなかなか大変だったけれど、いまではありあわせの安い食材で自炊できるようになったので、一人暮らしで自炊を始めた料理の初心者向けに自炊を始めるときのコツを紹介することにする。

●最初は調理器具が少なくてもよい

どうせ自炊するならうまいものがいいと本格的なチャーハンを作ろうとして中華なべを買ってしまうのは男子がやってしまいがちな失敗である。テフロン加工のフライパンのほうが焦げ付きにくくて使いやすい。私は最初に住んだアパートがガスコンロだったので重い中華なべでチャーハンを作っていたのだけれど、引っ越したアパートが電気コンロで中華なべが使えなくなったので結局捨てた。中華なべは料理がうまくなって立派な家に住めるようになってから買えばよいので、初心者にはお勧めしない。

三徳包丁、まな板、菜箸、キッチンばさみ、おたま、フライパン、鍋があればたいていの料理が作れる。いきなり本格的な調理器具をそろえても使わないと無駄になるので、最初は最低限の調理器具だけ用意して、足りなくなったら買い足したり、料理がうまくなって凝ったものを作れるようになったら相応の調理器具を買うとよい。私が使っているのはNyammyの包丁セットと、和平フレイズの重ね鍋フライパンセットと、実家で余っていた鍋やフライパンである。

私はお好み焼きやホットケーキを作るときはフライパンを振って空中で回転させてひっくり返しているのでフライ返しをあまり使わないし、ほとんどの野菜を皮ごと食べるのでピーラーも使わないし、目分量で味付けするので軽量カップやさじも使わない。アルミの行平鍋は煮物が焦げ付きやすいし、一人暮らしの自炊で吸い物系を作ることもあまりないので使わなくなった。和平フレイズの鍋はテフロン加工でカレーやシチューが焦げ付きにくくて一人分の料理を作るのにちょうどよいサイズなので気に入っている。

●料理を覚える順番

・炒め物は難しいので後回しにする

炒め物を作るときには、油の量+火力+食材のきり方+食材の火の通りやすさ+味付けと、5つのことに気をつけないといけないけれど、どれを失敗しても料理がだめになる。まずはフライパンに油をひいて十分に加熱しないといけないけれど、料理の初心者にはこの加減が難しい。油が少ないと食材がこげつくし、油が多すぎても体に悪いし油の無駄遣いである。肉を炒めるときに火力が強すぎると表面がこげて中に火が通らないし、肉が生焼けだと食中毒になりかねない。さらには味付けの失敗を挽回しにくくて、塩コショウを振りすぎて味付けが濃くなった場合に薄める手段がない。というわけで炒め物は後回しである。

・まずは生で食べられる食材を知る

生で食べられるものは料理の必要がないので、どんな料理下手でもとりあえず生で食べておけば飢え死にすることはない。キャベツ、レタス、きゅうり、トマト、たまねぎ、アボカドとかの野菜を適当に切ってマヨネーズやドレッシングをかければサラダになるし、パンにはさめばサンドイッチになる。生でも食べられる食材を適当に切ることでまずは包丁に慣れることができる。

・生で食べられないものは茹でることからはじめる

生で食べられないものは料理する必要があるけれど、まずは茹でることからはじめるとよい。炒め物は火加減がわかりにくいけれどお湯は沸騰したら誰でもわかるし、肉を炒めるときは下からしか熱を加えられないけれど、肉を茹でると全方位から熱を加えられるので食中毒になりにくい。食材に火が通っているかどうかも目視できるし、茹で方が足りなければ鍋に戻してさらに茹でればよいだけなので失敗しにくい。茹でたものを食べると素材そのものの味がよくわかるのでちょうどいい味付けの目安ができるし、どの程度食材を加熱すればおいしく食べられるようになるのかを知ることができるようになる。
しゃぶしゃぶ風にして茹でてタレにつけるだけで簡単なので、料理初心者でも失敗しないし肉も野菜もたくさん食べられる。下ごしらえは豚バラ肉や葉物野菜を適当な大きさに切ればよいだけだし、コンロも一つしか使わずに済んで台所が狭いアパートでも作りやすい。白菜やチンゲン菜や水菜などの葉物野菜は火が通りやすくて食材の切り方やサイズは適当でよいので、面倒くさがりな人にも向いている。
茹で終わったら味付けのタレは市販のポン酢やめんつゆを使えば、塩コショウと違って味付けが濃すぎたり薄すぎたりすることもなく、安定して同じ味付けにできる。薬味に大根おろしやねぎのみじん切りを加えてもよい。私は酸っぱいのが嫌いなので、ポン酢に大根おろしを入れて酸っぱさを中和して食べるのが気に入っている。忙しいときの手抜き料理としても便利である。

・茹でるのに慣れたら汁物を作る

汁物は日持ちしなくて作りおきができないので、一人暮らしの場合は一食分だけ作ることからはじめるとよい。食材を切って茹でて出し入りの味噌をちょっと加えれば味噌汁が簡単に作れる。豆腐やワカメやネギや油揚げやキノコとかの火が通りやすいものを中心に汁物のアレンジを増やしていくとよい。

・汁物に慣れたら煮物を作る

煮物は汁物と違って作りおきができるので食事のバリエーションが広がる。葉物野菜は煮物に向かないので、煮物に使うのは根菜が中心になる。根菜は皮に栄養があるのでにんじんやごぼうは皮をむかなくてもよい。カレーやシチューはわざわざ食材を炒めなくても肉や野菜をまとめて茹でてルーを入れるだけで簡単に作れる。

煮物は汁物とは違う注意点がある。まず煮物は冷めるときに味がしみていくので、やたらとぐつぐつ煮込むのはガス代の無駄である。食材にある程度火が通ったらふたをして余熱で完成させれば食べるときには少し冷めていてやけどをすることもないし、少しずつ味も染み込んでいる。
それから煮物は汁物よりも水分が少ない分、味付けが濃くなりすぎないように注意しないといけない。煮詰まって食材に味が染み込み過ぎて濃くなったのを薄めることは難しいので、煮詰める前に味付けを調整しないとけない。味付けを無駄に濃くするのは調味料の無駄だし健康にも悪いので、まずは薄味からはじめて徐々に好みの味に調節していくほうがよい。
それから煮物を再加熱するときに火力を強くしすぎて鍋の底を焦がしたのは私がよくやった失敗で、カレーで底が焦げると鍋が全部コゲの味になって台無しになるので、再加熱するときは鍋を離れずに弱火でコトコトやってかき混ぜたりして底が焦げないようにするとよい。

・また炒め物に挑戦する

これまでをおさらいすると、生で食べられる食材の切り方を覚えて、茹でることで食材をどの程度加熱するか覚えて、煮ることで味付けを覚えた。最後に炒め物で覚えるは火加減で、これが自炊の最難関ポイントである。

まずは卵焼きで炒め物を練習するのが私のお勧めである。というのも、卵は1個10円で安いし、失敗してもごちゃごちゃかき混ぜてスクランブルエッグにすれば見た目が悪くてもおいしく食べられるし、食材を卵一種類に絞ることで味付けの塩コショウやしょうゆの量が多いか少ないかも判断しやすくなる。卵を焼く料理なら目玉焼きのほうが簡単に作れるけれど、それだと簡単すぎて炒め物の練習にならない。卵焼きというのはシンプルに見えて難しくて、炒め物の油の量と火加減を覚える練習にはちょうどよいのである。油が少なかったり火加減が弱かったり手際が悪かったりするとフライパンに卵がくっつきやすくなるので、油をまんべんなくひいてフライパンを十分に加熱させて、溶いた卵をフライパンに流し込んだらまずは固まる前にちゃちゃっとかき混ぜてふっくらさせて、火が通って固まってきたら端のほうから折りたたんで卵焼きの形に整えていく。中心のほうが半熟にならないように弱火で中まで火を通せるようになったらOKである。卵焼きをマスターすれば、野菜炒めとか焼きそばとかパスタとかチャーハンとか貧乏自炊の定番料理はたいていおいしく作れるようになる。

炒め物の上達のコツは、五感を使って見た目と音と匂いに注意することである。フライパンを熱したときに油の匂いや手をかざしたときの暖かさでフライパンが十分に温まったかどうかわかるし、フライパンに食材を入れるときにジュージューいう音でフライパンの温度が高いか低いかがわかるし、炒めているときに肉に赤みが残っていたらまだ加熱不足で、食材の水分が蒸発して湯気が出てほんのり焼き色がついていい匂いがしたら食べごろで、黒くなって焦げた匂いがして食材がしなびていたら加熱しすぎである。レシピを広げたりタイマーで測ったりしなくても五感でちょうどよい食べごろがわかる。

・揚げ物は作らない

揚げ物は貧乏人の料理としてはコスパが悪い。まず大量の油が必要だし、油を高温に加熱するのに火力が必要だし、使い終わった油を処分するのにも固めるテンプルとかが必要でお金がかかる。それに油がはねるので台所の掃除が大変になるし、ちゃんと油を掃除しないとゴキブリが寄ってくるし、火事のリスクも高くなる。家族全員分のおかずをたくさん作るならまだしも、一人暮らしで一人分の揚げ物を作るのはリスクとリターンが割に合わない。どうしても揚げ物が食べたかったらスーパーの惣菜を買うとよい。

●自炊して事故を起こさないための注意点

・疲れているときの自炊に注意する

私が自炊を始めたばかりのころ、お湯が沸くまでちょいと休憩できるやんけと思って横になったらそのままうたたねしてしまって鍋が空焚きになったことがあった。カレーを煮込む間にうたたねしてカレーが焦げて台無しになったこともあった。
一人暮らしを始めたばかりのときはいろいろな手続きだとかやることが多くて新しい環境に慣れるまでが大変で、特に夕飯を作るときは一日の用事を済ませてかなり疲れている状態なので、ちょっと休憩のつもりで横になると意識がとんでしまって危ない。疲れて寝てしまいそうなときは煮物、蒸し物、揚げ物などの長時間火を使う料理は避けて、すぐに作れるもので夕飯を済ませたほうが火事を避けやすくなる。ちゃんと休憩してからご飯を作るか、ご飯を食べてから休憩するようにして、調理中にキッチンを離れて休憩するのはやめたほうがよい。

・家電は正しく使うように注意する

私が自炊を始めたばかりのころ、オーブントースターの受け皿がないほうが早く加熱できるやんけと思って受け皿をはずしてパンを焼いたりから揚げを暖めたりしていたら、オーブントースターの底に油や食べ物のカスがたまって火がついたことがあった。幸い火事にはならなかったものの、うたたねして鍋を空焚きしたとき以来の危機だった。今はちゃんとオーブントースターの受け皿を使って、底も定期的に掃除するようにしている。

カセットコンロを並べて使ったりしてガス缶が加熱されて爆発する事故もときどきニュースになっているので、カセットコンロを使う場合は気をつけないといけない。

真空パックの食品でもレンジで袋ごと加熱してよいものとか、袋に空気穴をあけてから加熱するものとか、袋から出してから加熱するものとかいろいろあるので、注意書きをよく読まないといけない。

・燃えるものをキッチンに置かないように注意する

コンロの周りに燃えるものを直接置く人はあまりいないだろうけれど、台所の窓にカーテンをつけていると火が出たときに燃え移る可能性があるので危ない。
貧乏な一人暮らしだと狭いキッチンに電気ポットとか電子レンジとかの調理家電を置かないといけないけれど、もし家電から発火しても周囲に燃え広がらないように、ちゃんと整理整頓しておくほうがよい。
揚げ物をしたあとの天かすから発火したり、揚げ物の油を拭いた新聞紙から発火したりすることもあるので、揚げ物には特に注意が必要である。

・沸騰に注意する

普通に沸騰するときは吹きこぼれに注意する程度でよいけれど、突沸にはもっと注意が必要である。冷めた味噌汁を再加熱するときにちゃんとかき混ぜないで急激に加熱すると、底のほうだけ温度が上がって突沸して派手に吹きこぼれることがあって危ない。そもそも汁物は作り置きせずにすぐ食べる分だけ作ればよいのである。

・皿洗いに注意する

私が自炊を始めたばかりのころ、手荒れがひどくて指がつるつるになって指紋がなくなりかけた。洗剤の適量の加減がわからずに洗剤が多すぎたのが原因のようである。皿洗いをするときには洗剤をスポンジに数滴たらしてあわ立てるだけでよい。
それから皿洗いをしているときは手が滑って食器を落としやすくなるので、皿を割ったり包丁を落としたりして怪我をしないように注意が必要である。まな板を足の甲に落としたときはかなり痛かった。

●というわけで自炊がんばえー

自炊すると食材の旬や保存に関する知識もついて節約しやすくなるし、料理や掃除をすることで女子力も高くなるし、もはやメリットしかない。私は女子力が高くなりすぎて一家に一匹(召使として)欲しいと女子に言われるけれど、せめて主夫にしてほしいもんである。
自炊を始めたばかりのころは献立を考えるのが大変なものの、一週間分のローテーションが出来上がると毎日自分好みの味付けの食事を食べられるので気分的にだいぶ楽になる。他人に食べさせるものに手を抜くのは気が引けるけれど、自分で食べるものなら手抜きでもよいのである。私は三食芋煮とか三食カレーとか三食やきそばとかでもへっちゃらである。空腹を満たして栄養を取れれば献立はなんでもいいのである。
外食で外れを引くまいとして千円以下のランチでさえ必死に食べログをチェックしてうろうろする人もいるけれど、そこまで悩むのは時間の無駄なので自炊して弁当を作るほうがましである。自炊できるようになるとランチのしがらみからも開放される。
自炊、自炊、さっさと自炊!がんばえー!