三角猫の生態

楽しく貧乏に暮らすための工夫とか節約術とかを書いています。

楽しい貧乏な食事:半額の総菜や弁当は罠だ

閉店間際の夜のスーパーは総菜に半額のシールが次々と貼られていって、貧乏人が群がるワクワク貧乏ランドへと変貌する。しかしこれが貧乏初心者を貶める恐ろしい罠なのである。どうして半額の惣菜や弁当が罠なのか解説する。

●半額だろうが結局自炊より高い。

1ヶ月1万円の食費で生活しようとすると、1食あたり100円程度で済ませる必要がある。しかし半額の弁当は安くても150-200円くらいするので、弁当ひとつですでに予算をオーバーする。1食抜いたりして無理やり予算内に収めようとするとストレスになったり健康を害したりするので、これもよくない。
一人暮らしの人が自炊するときに手間がかかる揚げ物を作ることはあまりないので、自分で作れないような半額の惣菜は魅力的に見えてしまう。しかしそれが罠なのである。半額惣菜を買うのを習慣化してしまうとその分自炊能力が衰えていくので、これは財布に穴をあけるようなものである。
仕事が忙しくて自炊する暇がないとか、食材が切れていて買出しに行かないといけないけど安い食材が買えなかったとか、長期旅行前に冷蔵庫を空にしておきたいとか、緊急時にだけ半額の惣菜や弁当を頼るとよい。

●夏の半額の刺身や寿司は傷んでいる。

魚は元の値段が高いので、半額になるとお得な感じがする。しかしこれが罠である。揚げ物なら再加熱すればまたパリッとしておいしくなるものの、古くなった刺身を新鮮な状態に戻すことはできないので、魚の傷み具合の目利きができない貧乏初心者がうかつに手を出すのはやめたほうがいい。マグロやカツオやサバなどの赤身系の青魚は温度管理が悪いと細菌がヒスタミンを合成するけれど、ヒスタミンは過熱しても分解しないので食中毒の原因になる。貝は自己消化して死んだ後に腐るのが早いので、半額の活きアサリなどを買って調理する際には死んだ貝を見分ける目利きが必要になる。スーパーにもよるけれど、刺身は冷蔵ケースに入っているのに対して巻き寿司やちらし寿司とかのパック寿司を他の弁当と一緒にあまり冷やさずに並べているところもあるので、パック寿司が何時にパック詰めされたのか時間を確認してから買うほうが良い。パック詰めされてからあまり冷やされていない状態で長時間経っている寿司は細菌が繁殖している可能性がある。たとえ半額だろうがお金を払ってまずくておなかを壊すようなものを食べるのではかえって損だし、普段から栄養状態が悪い貧乏人がおなかを壊すと重症化しかねない。
冬なら半額の魚でもあまり傷んでいないものの、夏に半額の魚を買う際には青魚を避けたうえで十分に加熱して食べて、夏の半額の刺身やパック寿司でドリップが出たり酸化して黒ずんだりしているものはなるべく避けたほうがよい。パックされているがゆえに臭いを確認できないので、そのぶん見た目をよく調べて、痛んでそうだと思ったらお得に思えても諦めるほうが安全である。私は半額のカツオを買って食べたときに味は問題なくても翌日軽い下痢になったので、もう半額でも買わなくなった。生えびの尻尾の部分も汚い水がたまって細菌が繁殖しているかもしれないので食べないほうが良い。

●半額太りする。

アメリカの貧乏人がフードスタンプでカロリーが高いジャンクフードを食べてぶくぶく太っていることはよく知られているけれど、これは日本でも起きる。閉店間際の夜のスーパーで割引になっているものを買わないと損だ、他の人に買われるのはくやしい、捨てられるのはもったいないと思って必要以上に惣菜や弁当を買っても、もともと消費期限が間近だから割引されているわけで保存がきかないので、傷む前に夜か翌朝に全部食べることになる。食べ過ぎた分を他で調整しようとして食事を抜いたりすると食生活が乱れて、夜にいっそうおなかが空いてまた半額弁当に吸い寄せられて、脂っこい半額総菜をたらふく食べると胃酸が多く出てますますお腹が空くというループにはまってしまい、カロリーを取りすぎることになってぶくぶく太ってしまう。
貧乏初心者にとって目当ての半額惣菜をゲットするのは得をしたようで達成感があるけれど、この達成感こそが半額依存のループから抜けられなくなって半額太りにつながる罠なのである。貧乏人が達成するべき目標は半額惣菜ゲットではない。もっと大きな目標を達成して貧乏から抜け出すことを目指すべきである。私は貧乏になりたてのころは半額太りの罠にはまってしまったものの、さらに貧乏になった今では半額の惣菜や弁当はほとんど買わない(買えない)ので、ベルトの穴3つ分くらいやせて健康になった。

●うまいものの味がわからなくなる。

総菜は出来立てほやほやが一番おいしい。揚げ物は時間がたつとサクサク感がなくなって油がしみでてべちゃっとなるし、パンはしっとりふわふわ感がなくなって乾燥してパサパサぼそぼそになる。半額のまずくなった食べ物や味付けの濃い食べ物に慣れて味覚障害の貧乏舌になると、うまいものの繊細な味がわからなくなる。もし偉い人に回らない寿司屋に連れて行ってもらって醤油をどばどばつけようものなら、味がわからない貧乏人にいいものを食わせるのはもったいないと思われて二度とおごってもらえなくなる。何にでもマヨネーズやケチャップや七味唐辛子をかける人たちが一時期話題になったけれど、それはもはや食材を味わうというより調味料を味わっているようなものである。物を食べるという行為は死ぬまで続くので、うまいものの味がわからないのは人生の大部分を損していることになる。旬の素材ならほとんど味付けしなくてもおいしいので、うまいものの味がわかるようになると調味料代も節約できる。

●長期的に健康を損ねて医療費を損する。

弁当のおかずは揚げ物が多くて野菜が少ないし、冷めてもおいしく感じるように味付けが濃くなっているし、腐りにくいように添加物がいろいろ入っている。そういう高カロリー高コレステロールで塩分が多い食事を続けていると高血圧になって血糖値も高くなる。すぐに体に影響がでるわけではないものの、長期的には脳梗塞や糖尿病などの大病につながる。
貧乏人は体が資本である。病気になって仕事を休もうものなら収入減に直結するし、貧乏人はろくに保険に入っていないので入院や通院が必要になろうものなら毎月数万円に羽が生えて飛んでいくし、大病になって高額な治療費が払えなければそこで人生が詰む。食費をケチって半額弁当にお金を払って病気になってさらに医療費まで払うのでは割に合わないので、貧乏人だからこそ栄養があって健康になる食べ物にお金を使うべきである。節約すべきなのは食費でなく医療費で、病気を予防できる食べ物にお金を出すのは無駄遣いではなく、長期的に見て高額な医療費の節約になっているのである。

●私の提言

貧乏人の食欲は抑えがたいので、私が半額の惣菜や弁当が罠だといってもすでに半額トラップにはまっている人にはあまり効き目がないかもしれない。手が届くところにあるお得な半額惣菜への欲求を抑えるのは難しい。貧乏人は半額の罠にはまらないように自衛して半額に依存しないように賢く買い物をするべきだけれど、スーパーマーケット側でも揚げ物で弁当をかさましして貧乏人ホイホイするのでなく、サラダとか酢の物とか煮物とかの健康的な惣菜を積極的に割引にして貧乏人の健康に配慮してほしいのである。
スーパーマーケットといえば地域の台所であり、生活に必需の重要拠点であるからこそ、単に食材や惣菜を売るだけでなく、地域住民の食育や健康管理も担ってもよいではないか。貧乏人を健康にすることで医療費削減につながるし、社会全体の利益になる。コンビニのように出店と閉店を繰り返すような替えのきくような小売業と差別化して社会貢献度が高い企業になれば、ローカルな中小スーパーマーケットでも大手資本に対抗できる魅力がある店になるのではないかと私は思うのである。