三角猫の生態

楽しく貧乏に暮らすための工夫とか節約術とかを書いています。

楽しくない貧乏な食事:夏は卵が腐りやすいので気を付けるんだ

こないだ焼きそばと一緒に目玉焼きをつくろうとして、焼きそばをフライパンのわきに寄せて真ん中に目玉焼き用の場所を用意して、いざ卵を投入しようとして殻を割ったら、どろっとした臭い黄味が流れ出た。やっちまったと気づいたときには時すでに遅し。卵が腐っていたのである。そのまま加熱して卵を固めてから腐った卵とお友達になっていない焼きそばを隔離して食べて、腐った卵とそのお友達は捨てたものの、下手をすれば焼きそばが全滅して貴重な食料を一食分無駄にするところだった。
チャーハンを作ろうとして腐った卵をご飯が入ったフライパンに投入してしまったこともあったけれど、これはかなり腐り具合がひどかったようで、腐った卵を加熱しても臭いを嗅いだだけで吐き気がして咳き込む生物兵器レベルの臭いがした。もちろん加熱しても食べられないので、もったいないと思わずに汚染された食材も捨てないといけない。捨てる時は台所に置いておくだけでも臭いでやられてしまうので、ゴミ出しの直前までビニール袋に密封して冷凍して臭いが出ないようにしてから捨てた。
貧乏人がエアコンの電気代も節約して夏バテしているところで食中毒にでもなろうものなら命にかかわりかねない。というわけで、このような恐ろしい悲劇を起こさないために夏の卵の取り扱いの注意喚起の記事を書くことにした。

●夏は卵が腐りやすい

なぜ夏の卵に気を付けたほうが良いのか、伊藤宏『食べ物としての動物たち』の92-94ページに鶏が卵殻を作る仕組みが書いてあるので引用する。

 卵殻の成分は炭酸カルシウムが約九五%を占め、カルサイトクリスタルという方解石の結晶である。ところが、血液中のカルシウムの大部分はタンパク質と結合しているので、これを放して炭酸カルシウムに作り直す必要がある。
 そのために、卵殻系政治の血中の二酸化炭素濃度を高くするという離れ業を、産卵鶏は演じている。だが、その現象が起こる理由は明らかにされていない。逆に、夏場に卵殻が薄くなりやすいのは、快適温度で一分あたり三〇~四〇回の呼吸数が高温時に高まって、二酸化炭素を多く吐き出してしまうことによるものと考えられている。

つまりは夏は卵の殻が薄くなるわけで、殻が薄い分ひびが入りやすいし、ひびがはいったところから細菌が入り込んだときに気温が高いと卵の中で繁殖して腐りやすいので、他の季節よりも卵の取扱いに細心の注意が必要になるのである。

●うっかり腐った卵を食べないようにする方法

・卵を買うときに卵のパックの裏まで見てして殻にひびがないか確認する。
・スーパーから家まで帰るまでの間に卵に衝撃を与えないようにする。
・冷蔵庫に入れる前に殻にひびがないか確認する。もしひびがあったら腐る前にすぐに消費してしまう。
・冷蔵庫のドアポケットの卵入れはドアの開閉の衝撃で殻にひびが入る可能性があるので使わずに、パックのまま保存する。
・卵の尖ったほうを下にして冷蔵庫に入れると黄味が空気に触れなくなって痛みにくくなる。
・卵は保管状態がよければ長期保存できるものの、殻にひびが入ったまま保管したら腐るので、保存した卵を使う前に殻にひびが入っていないか確認する。
・いきなりフライパンに卵を投入せずに、いったんおわんやボウルに卵を入れると、もし卵が腐っていても他の食材が汚染されずにすむ。腐っていない卵は殻が堅くて、何か硬いものに卵をコンコンとぶつけるとパキャっと殻が割れるけれど、腐った卵は黄味がとろけて中が空洞になっているのでベニャっという手ごたえがない感覚で殻が割れて、割った瞬間に腐った黄身が滴り落ちるので、殻を割るときも食材や台所が汚染されないように注意したほうがよい。
・複数の卵を割るときはおわんやボウルを二つ用意して、一個づつ割って中身を確かめてから安全な卵を合流させると、腐った卵が混ざって全滅するのを回避できる。
・ゆで卵の場合は食べる前に色や臭いを確認する。普通のゆで卵の硫黄臭さとは違う臭いがしたら食べないほうがよい。

●腐った卵を食べるとどうなるのか

私は朝食にゆで卵を作って、なんか変な味がするなと思ったものの急いでいたのでそのまま食べてしまったことがあった。すると二時間後には断続的な下痢が始まって、夕方にうんこを出し切って出るものがなくなってもお腹の痛みは止まらなくて、朝十時から次の日の朝までお腹がしくしく痛んで大変な目にあった。
症状は卵の腐り具合にもよるだろうけれど、私が食べたのはまだそんなに腐りきっていなかったようで、歩いてトイレにいけたし腹痛は薬なしで我慢できる程度で寝込むほどでもなかったので、痛みのレベルとしてはカンピロバクターの腹痛や親知らずの虫歯よりはましだった。もし腐った卵を食べたと気づいたときには、うんことして出すよりすぐにゲロとして出してしまったほうがよいと思う。

楽しい貧乏なDIY:すのこでベッドを作るんだ

ベッドというのは部屋に鎮座して存在感を放つ家具界のエースで、貧乏人のあこがれである。ベッドが高くて買えないという貧乏人でも市販のすのこをちょこっと加工すれば安くて簡単にベッドをDIYできるので、作り方を紹介します。

●準備するもの

・すのこ4-6枚

すのこは同じ大きさのものを体格や用途に合わせて4-6枚買う。すのこの板の隙間は狭いほうがベッドとして使いやすい。私は84cm×30cmの杉のすのこを4枚使っているけれど、一人で寝るぶんにはこれで足りる。

・隙間テープ

すのこの横ずれ防止と、フローリングや畳に傷がつかないようにするために隙間テープを使う。100円ショップの隙間テープで十分だけれど、耐久性があるものを選んだほうがよい。私はクッション部分がしっかりしたEVA樹脂になっている6メートルの隙間テープをキャンドゥで買った。
必要な隙間テープの長さは、すのこの横幅×すのこの足の数×すのこの枚数で計算できる。私は横幅30cm、足の数4本、すのこの枚数4枚で、30cm×4×4=480cmが必要で、6メートルの隙間テープひとつで足りた。

・紙やすり

100円ショップで売っている木材用の紙やすりでよい。目が細かい紙やすりほど仕上がりが滑らかになる。

・すのこの上に敷くもの

すのこの上に直接寝ると板の隙間の部分が背中に当たってごつごつするので、布団かマットのようなものを敷くほうがよい。厚みがある敷物ならすのこの隙間は気にならなくなる。


●自作すのこベッドの作り方

1.すのこに紙やすりをかける

普通のすのこは押し入れ用として売られていて、ベッドとして使われることを想定していない。安いすのこだと使われている木が安物で加工も粗かったりするので、木がささくれだっていることがある。まずはベッドとして使って直接肌が当たってもケガをしないように、すのこの端や角の部分にやすりをかけてささくれを取って肌触りをよくしておく。

2.すのこの裏側に隙間テープを張る。

すのこを裏返したら、足の部分に隙間テープを張る。隙間テープがあるのとないのとでは自作すのこベッドの安定度合いがまったく違う。隙間テープは実際にすのこベッドを使い始めて体重がかかるとぺしゃんこに潰れるけれど、それでもある程度クッション性と防音性があるし、床に傷がつきにくくなるので、隙間テープは必ず使うほうがよい。隙間テープこそ普通のすのこをすのこベッドにクラスチェンジさせるキーアイテムである。

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3.すのこを並べる。

縦に並べるか横に並べるかは好みの問題なので好きにすればよい。私は縦に2×2で並べている。

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4.すのこの上にマットや布団を敷く。

これは布団でなくても自分の好きなものを敷けばよい。キャンピング用の折り畳みマットでもよいし、一畳用のい草マットやカーペットでもよい。私は空き地で「ご自由にお持ちください」と置いてあった座布団を拾ってきてすのこベッドに敷いて使っている。

 

●自作すのこベッドのメリット

・安い

ベッドは家具の中でも一番高い部類で、かさばるし処分も大変なので、気軽に買えるものではない。しかしすのこベッドなら数千円で足りる。例えばニトリの「多目的ひのきスノコ5枚板」を4枚使ってすのこベッドを作っても、1290円×4枚で5160円しかかからない。ホームセンターで売っている1枚500円くらいの杉のすのこなら4枚で2000円である。市販のすのこベッドを買うよりも安上がりである。

・模様替えや引っ越しが簡単にできる

女性でも一人で持ち運びできるので、ロフトにも簡単に設置できる。普通のベッドではまねできない機動性の高さである。
あるいは急に友達が泊まることになって寝る場所がないときに、すのこベッドを廊下や台所に設置して寝る場所を増やしたりもできる。床にじかに布団をしくのは嫌だという人でもすのこベッドがあれば安心である。

・拡張できる

市販のすのこベッドはたいてい折り畳み式でサイズが決まっていて、そのせいでかえって使い勝手が悪かったりする。しかし自作すのこベッドなら、すのこを好きな数だけ縦に並べたり横に並べたりして自由に広さを拡張できる。L字型すのこベッドみたいな変則的なものも簡単に作れる。

・湿気がたまらない

冬はフローリングにじかに座布団を置いて長時間座っていると、座布団に湿気がたまって湿ったり、カビがはえたりする。私は在宅で仕事をしているので、これが結構悩みどころだったけれど、すのこベッドで湿気の問題が解決したのである。
私は冬にこたつの下にすのこベッドを置いてこたつで仕事をして、眠くなったらそのままこたつで寝ていて、長いときは一日のうち23時間くらい同じ場所に座っているけれど、すのこベッドのおかげで座布団や床に湿気がたまらなくなった。寝る人だけでなく、長時間座り仕事をする人にもおすすめである。

・掃除が簡単

普通のベッドの下の部分を掃除するのはなかなか大変で、ベッドの奥に掃除機が届かなかったりする。しかしすのこベッドはすのこを一枚ずつひっくり返して簡単に掃除できる。

・ベッドから落ちてけがをする心配がない

すのこは高さが数センチしかないので、寝相がわるくてもベッドから落ちてけがをしないですむ。

・疑似小あがりになる

和室の片隅にフローリングの小あがりが欲しいときはすのこを並べて木目調マットを敷けば洋風の小あがりっぽくなるし、洋室の片隅に畳の小あがりが欲しいときはすのこを並べてい草マットを敷けば和風の小あがりっぽくなる。工事費用をかけずに内装を変えることでちょっとした気分転換になる。ブロック風の発泡スチロールをすのこの下に置けば段差をちょっと高くすることもできる。

・外でも使える

例えば大地震が起きて家の中で寝るのは危ないというときに、すのこを庭に持ち出せばすぐにすのこベッドを設営できるし、テーブル代わりにもなる。でこぼこした地面で寝るよりストレスがかからないし、すのこの足が数センチ高くなっているぶん雨が降っても浸水しないので安心である。
私はキャンピングカーを持っていないのですのこベッドが車中泊やキャンプに使えるかどうかはわからないものの、キャンピングカーやテントで寝泊まりしている人で寝ているときの背中の通気が気になる人はすのこベッドを試してみるとよいかもしれない。

・すのこベッドがいらなくなったら普通のすのことして使える

すのこベッドを作ってみたけどやっぱり合わないや、という場合でも普通のすのことして押し入れやベランダで使えるので無駄にならない。引っ越すことが確定している学生や転勤族の人は、ベッドで寝たいけどかさばるのは嫌だという場合にまずは自作すのこベッドを試してみるとよい。

・すのことしていらなくなったらDIYの材料に使える

すのこは板のサイズがそろっているのでDIYの素材として使い勝手がよい。すのこの形のまま加工して棚やベンチにしてもよいし、板をばらして他のものを作ってもよい。

・処分が簡単

自治体によるけれど、普通のベッドを捨てる時は粗大ごみとして処分費用がかかる。しかしすのこならのこぎりで小さく切れば燃えるゴミとして捨てられる。あるいはキャンプで薪として使ってもよいかもしれない。


●自作すのこベッドのデメリット

・貧乏くさい

他人に見られたらちゃんとしたベッドも買えないほど貧乏なのかとドン引きされるかもしれない。しかし貧乏人の家をわざわざ訪ねる人はいないので、これはたいしたデメリットではない。

・一人用

一人で静かに寝るぶんには問題ないものの、体重が重い人だとギシギシ音がするかもしれないし、男女がすのこベッドの上にのってギシギシ運動するような用途には向いていない。しかし貧乏人の家をわざわざ訪ねる人はいないので、これはたいしたデメリットではない。

・こまめに掃除が必要

すのこの板の隙間から抜け毛が落ちたり、すのこの下の部分に部屋の埃が吹き寄せられて堆積したりして、けっこうごみがたまる。しかしすのこベッドは掃除しやすいので、メリットとデメリットが相殺しあう感じ。

・使っていくうちにすのこがずれる

ただすのこを並べただけだと、使っていくうちにすのこがずれていく。神経質な人はこのずれが気になるかもしれない。ずれるのが気になる場合はDIY用の金具で固定したり紐で縛ったりするとよいけれど、全部固定してしまうと掃除しにくくなるので、私はすのこを固定しないで、掃除のついでにずれを直している。

 

●まとめ

市販のすのこをちょこっと加工した自作すのこベッドは一万円以下で、作業時間は30分程度で一人で簡単に作れるし、模様替えも簡単にできる。メリットが多い割にデメリットは少ないので、貧乏でもベッドがほしい人はすのこベッドを作ってみるとよいですよ。

楽しい貧乏な趣味:貧乏でも旅行がしたいんだ

旅行というのはお金がかかる。交通費、食費、宿泊費がかかるし、仕事も休まないといけない。旅行の思い出を記録しようと思ったらいいカメラが必要だし、お土産をたくさん買おうと思ったら大きなキャリーバッグも必要になる。それゆえに旅行というのは中産階級以上の小金もちに許された趣味なのである。世界的な旅行ブームはしばしばおきていて、第一次世界大戦後はアメリカが繁栄してパリがアメリカ人旅行者であふれたし、最近は中国が経済成長して世界中の観光地に中国人旅行者があふれるようになった。円安で外国人旅行者が日本にわんさか来る一方で、可処分所得が下がっている日本人は旅行離れしているそうな。

貧乏な人は交通費を節約するために無駄に家と職場を往復するだけになりがちで、視野が狭くなりがちである。しかし貧乏人にもできる旅行がある。徒歩と自転車での日帰り旅行である。

●貧乏人におすすめの日帰り徒歩・自転車旅行

・装備

スマホ、サイフ、水筒、タオル、ティッシュ、折り畳み傘、おやつまたは弁当。ボディバッグやトートバッグのような片方の肩にかけるタイプのバッグだと肩がこるので、両肩に均等に負荷がかかるリュックのほうが便利。
徒歩で長距離歩くのが心配な人は履きなれた靴を使って、まめ用に絆創膏も持っていくとよい。自転車の場合は小さい空気入れを持っていくと途中で空気が抜けているのに気づいてもなんとかなる。途中で捻挫したり自転車が壊れたりすることもあるので、電車やバスやタクシーで帰れる程度の現金は持っていったほうがよい。

・目的地の決め方

帰りは疲れているし道に迷うこともあるので行きの1.5-2倍の時間がかかると計算すると、片道2時間程度の距離なら朝9時に家を出ても夕方には帰ってこれる。徒歩なら時速3-4km/hと考えて6-8km程度、自転車なら時速10-15km/hと考えて20-30km程度の距離が日帰り貧乏旅行の目的地になる。出発地点は自宅でもよいし、どこかの駅やバス停でもよい。最初は目的地までの距離を短めに設定して、往復3時間程度で体力に余力を残して帰ってこれるようにして、慣れてきたら目的地までの距離を長めにするとよい。目的地に行くことにこだわらずに、疲れたら引き返すのが大事である。

・楽しみ方

目的地を決めたら地図を見ずに行くのである。太陽の方角や看板や電信柱にかかれた番地を頼りにして、目的地につかなくてもいいやというくらいの適当な感覚で進んでいくと、視覚や聴覚が研ぎ澄まされて非日常を楽しめる。あえて目的地へのルートを設定しないことで、裏道で偶然おしゃれな店を見つけたり、面白い看板を見つけたり、変な動植物を見つけたりして、旅行ならではのセレンディピティ的な体験ができる。適当に歩いていると二度と同じ道を辿ることはないので、近所を散策するにしても毎回新しい冒険に出かける気分を味わえる。適当に歩いて本当に道に迷ってしまって帰れなくなると困るので、最終手段として地図アプリを使えばよい。私は「おさんぽまっぷ」というアプリが気に入っていて、地図上に通ったルートが表示されるので、行きは適当でも帰りは違う道を通ってちゃんと帰ることができる。

東京のような都市部なら隣の区に行くだけでも十分面白い。路線価が違うと町並みも違っていて、戦前からあるような町では道路が狭くて小さい家が並んでいて狭い駐車場ぎりぎりに車を停めていたり、通勤に使われるような路線沿いは巨大な団地が並んでいたり、郊外には豪邸があったりする。ペンシルハウスやら二世帯住宅やら狭小住宅やらデザインが様々で車の種類も豊富なので、家や車を眺めるだけでも面白い。
自宅から数キロ圏内には何もないという田舎なら、雑木林を探索して動植物の写真を撮ったり、釣りポイントを開拓したりして、アウトドアごっこをすればよい。

・寄り道ポイント

貧乏徒歩旅行のおこづかいの予算が500-1000円だと、初めて行く商店街のパン屋でパンを買ったり、肉屋でコロッケを買ったりして、ふだん買い物している近所の店とは違う味を発見できる。スーパーを開拓して品揃えをチェックするのもよいけれど、荷物になるものは買い物しないほうがよい。住宅街には一定間隔で公園があるので休憩するのにちょうどよいし、水筒に水を補充できる。神社は駅のそばや町の中心部にあって記憶に残りやすくて次に訪ねるときの目印になるので、セーブポイントとして寄り道するとよい。都民の日には都内の一部の施設や庭園が無料になるし、動物園や水族館は開園記念日に無料になったりするし、芸術系の大学だと卒業制作の発表とかで無料の展示があったりするし、小さいギャラリーで無料の個展とかもあるので、こういう無料で入れる施設に寄るのもよい。帰りに銭湯に寄って疲れをとるのもよい。行った場所でグーグルマップに口コミや写真を残しておくと次に行くときの目安になる。

・観察をするべし

気になった動植物をすぐ観察できるのは徒歩旅行ならではのメリットである。野鳥の撮影とか昆虫採集とか野草の名前を調べるとか雲の写真を撮るとかの自然観察でもよいし、駐車場にどの車のメーカーが多いのかとかすれ違う人は何色の服を着ているかとかを調査するのもよい。徒歩だと景色の変化がゆっくりなので畑とか団地とか工場地帯とかで同じ景色が続いたりして飽きやすいけれど、単に移動する以外の目的をつくることで飽きにくくなるし観察眼が磨かれる。

私は外出したときに見かけた野良猫の数をカウントしている。日中は猫はあまり活動していないけれど、夜明け前はよく猫がなわばりを巡回している。私は朝の1時間の散歩で野良猫を12匹みつけたことがあるし、運がいいと猫の集会に参加できる。子猫は臆病なのですぐ逃げるか好奇心旺盛でじゃれついてくるか両極端だけれど、親猫は人馴れしていて撫でると喜ぶようである。飲み屋街だと酔っ払いのげろを野良猫が食べていて、野良猫の食べ残しはスズメがついばんでいた。都会の生態系は奇妙なものである。

楽しい貧乏な家電:ムスカフォンの作り方

ムスカというのはスタジオジブリの『天空の城ラピュタ』に出てくるムスカ大佐で、ラピュタの王家の血筋をひくやんごとなき人である。貧乏でも王族の気分を味わいたいという人は、スマートフォンをカスタマイズしてムスカフォンを作るとよい。

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ちなみに映画からセリフを録音しても、個人で使う分には私的複製なので著作権には違反しない。『天空の城ラピュタ』は定期的に金曜ロードショーで放送するので、録画機能つきのテレビやDVDレコーダーを持っている人はDVDを買わなくても音源を用意しやすい。

●背景画像をムスカの画像にする

これはムスカの画像を検索して、好きな画像を保存してスマートフォンの背景画像にすればよい。パソコンでDVDが再生できる人は、好きな場面でスクリーンショットを取って画像を保存してそれをスマホサイズに小さく加工すればよい。

●着信音をムスカのセリフにする

着信音は天空の城のラピュタのテーマソングにするのが無難だけれど、それではムスカ感が乏しい。
冒頭でムスカが飛行船でモールス信号を打っているタタタタータタタターという音は着信音にちょうどよい。他人に着信音を聞かれてもオタク感がせず、さりげなくムスカを主張できる。
もっとムスカを前面に出して攻めたい人は、ロボットが暴れて通信回路を切り替えたときの「私はムスカ大佐だ。ロボットにより通信回路が破壊された。緊急事態につき、私が臨時に指揮をとる」がよい。
コミュ障で電話に出たくない人は、ムスカラピュタの雷を落とす前の「さあ、何をためらうのです」を着信音にするとためらわずに電話に出られるようになるかもしれない。
女友達からの着信音には個別着信音を設定して、ラピュタでパズーがムスカの側近に銃撃されてムスカがシータを捕まえた時の「これはこれは、王女様ではないか」がちょうどよい。
上司や先輩の着信音はムスカラピュタの雷を落とす前の「言葉を慎みたまえ、君はラピュタ王の前にいるのだ」にすると、電話に出ても言葉を慎めるようになるかもしれない。

五味さんが知り合いにいる人は、「ゴミのようだ」の名台詞を着信音にしてほしい。

●アラーム音をムスカのセリフにする

アラーム音にはバルス直前の「時間だ」がぴったりで、幅広い用途に使える。
目覚ましのためにアラームを使う人には、ムスカがシータの部屋に行ったときの「よく眠れたかな」がちょうどよい。二度寝したい人にはバルス前の「三分間待ってやる」をスヌーズにするのもよい。
遅刻防止にアラームを使っている人には、ロボットが動いてシータが塔の上に行って飛行石が光をさした後の「まだか、早くしろ」がよい。

●通知音をムスカのセリフにする

通知音にはシータに巨神兵を見せに行く時の「ぜひ見てもらいたいものがある」や、巨神兵の胸の紋章を指さした時の「ここを見てくれ」や、王族しか入れない聖域に木の根がはっていた時の「なんだこれは」がおすすめである。あの高慢ちきなムスカ大佐が執事のようにかいがいしく通知を教えてくれるなんて贅沢である。

●充電通知をムスカのセリフにする

充電が完了したらLEDランプが光るタイプのスマホを使っている人はシータが呪文で飛行石を起動させたときの「古文書にあった通りだ。この光こそ聖なる光だ」や、ロボットが動いてシータが塔の上に行って飛行石が光をさしたときの「あの光が差す方向にラピュタがあるのだ」がちょうどよい。
ムスカラピュタで木の根に覆われた巨大飛行石を見つけた時の「これこそラピュタの力の根源なのだ」というのもよい。

●録音と音の設定方法

私はパソコンでAudacityというフリーソフトを使って録音したmp3ファイルをスマートフォンに転送して使っている。パソコンを持っていない人はスマホの録音アプリで録音するとよい。

Androidのバージョンによって着信音の設定方法が違っていて、Android7.1だと歯車アイコンの設定アプリで着信音、デフォルトの通知音、デフォルトのアラーム着信音が設定できる。しかし私は個別の電話着信音も分けて設定したいので、ヤマハの着信音設定アプリを使って個別の着信音やGmailの着信音を設定している。

電通知音はそのままだと設定できないようなので、私は充電通知アプリを使って充電通知音を変えている。

●他のテーマにも応用できるよ

スマートフォンをカスタマイズしたいけどムスカはあまり好きじゃないという人は、同じやり方でドラえもフォンとかアンパンマフォンとか好きなテーマでカスタマイズすると他の人とは違う面白フォンになるので、お金をかけなくても日常生活を楽しくすることができるよ。
子供にスマートフォンを持たせたいという親は、デフォルトの設定のまま子供に渡すよりも、子供が好きなテーマにカスタマイズしてあげると喜ばれるかもしれないのでやってみるとよいよ。

楽しい貧乏なDIY:ミシンで裁縫して節約するんだ

たいていの人は学校の家庭科の授業でミシンを使ったことがあるだろうけれど、普段からミシンを使っている人はあまりいないかもしれない。しかし自分で裁縫ができるようになると、けっこう節約になるのである。裁縫に必要なミシンは裏縫いができるシンプルで安いミシンで十分で、私はbrotherのELU52という電子ミシンを6000円で買って使っている。本格的な裁縫をしたい人はロックミシンを買うとよい。ロックミシンは生地を裁断しながら縫ったりできるすぐれものだけれど、高機能なぶん高いので私は使ったことがない。

・服やかばんやリュックを捨てる前に素材を回収するとリメイクやタンス整理がはかどる

フリマで100円でも売れそうにないような服やかばんは捨てるしかないのだけれど、捨てる前にボタンを回収したり、素材がよければ生地を切り取ったりしてから捨てている。特にポケットの部分は使い勝手がよくて、ポーチやシザーケーススマホ入れを作りやすくなる。かばんについているポケット止めのベルトやDカンも使いやすい素材である。パーカーのフードを絞るひもも回収するときんちゃく型の袋を作るときに再利用できる。
子供は成長が早いので子供服はすぐサイズが小さくなって着られなくなるけれど、子供の成長の思い出として子供服をリメイクの素材に使うとよいかもしれない。着ないけど捨てがたいような思い出の服は丸ごと取っておいてもかさばって邪魔になるので、ワッペンとかロゴとかのデザインの一部を再利用して他は捨てるようにするとタンス整理ができる。

・自分ですそ上げすると節約になる

私は足が短いので市販のズボンはすそ上げしないと履けない。すそ上げが無料の店もあるけれど、300-500円くらい手間賃をとる店もある。1回のすそ上げ料金としてはたいした金額ではないけれど、積もるとけっこうな額になる。よほど厚手のジーンズでない限りは15分程度で自分で裾上げできるし、生涯履くズボンの裾上げ十数回分を節約できるとなるとミシンの元はとれる。貧乏人のズボンの裾を注視するような人はあまりいないので、縫い目がちょっとゆがんでいたりしても気にならない。

・ハーフパンツを自分で作ると節約になる

ズボンはかかとのところが痛みやすいけれど、古くなったズボンを好きな長さで切って縫えば簡単にハーフパンツにリメイクできるので、夏にわざわざハーフパンツを買う必要がなくなる。これで数千円の節約になる。スウェットパンツはだぼっとしているのでかかとが擦れてやぶれやすいけれど、リメイクしてハーフパンツにすると汗を吸うので夏の部屋着にちょうどよい。太っていた人がやせたときには以前履いていただぼだぼのズボンをそのまま履くと不格好になるけれど、ゆったりしたバミューダパンツ風にリメイクすればサイズが合っていなくてもあまり不自然に見えないし、夏はだぼだぼしているほうが風通しがよくて快適である。

私は型からハーフパンツを作ってみることにも挑戦してみたものの、ペラペラの安い生地を使った上に生地の伸縮具合を考慮に入れていないのでぴちぴちになってしゃがんだときに尻が漫画みたいにバリバリと裂けた。さすがに素人が知識なしでいちから作るのは無謀だった。よくメイドインチャイナのファストファッションの服は縫製が悪いといわれるけれど、自分で作るのに比べたら尻が裂けないだけでも縫製はよいと思う。

・半袖を自分で作ると節約になる

これもハーフパンツと同じ要領で、袖を好きな長さで切って縫えばよい。半そでのジャケットとか五分丈のパーカーとかの変則的な服がほしいときは、市販のものを探すよりも自分でリメイクしてしまうほうが手っ取り早い。最近の気候は暑さと寒さが極端で、春物と秋物の薄手の長袖ジャケットの出番が乏しくなっているけれど、タンスの肥やしにしたり捨てたりするくらいなら半袖にリメイクすると使い道が出てくる。4月や5月はTシャツだと寒いけど長袖ジャケットだと日中は暑いという微妙な気候で、Tシャツの上に羽織るような半袖のジャケットがあると体温調節がしやすくて便利である。

切り落とした袖の部分も再利用できて、そのままアームカバーにしてペンキ塗りとかの汚れ仕事のときに袖が汚れないようにしたり、袋状に縫ってペットボトル入れにして冷たいペットボトルが汗をかいても鞄が濡れないようにしたり、大根に着せておしゃれに飾り付けたりできる。

・ベストを自分で作ると節約になる

ベストがあれば着回しのパターンが増えておしゃれさんになれるけれど、そんなに頻繁に使うものでもないのでわざわざ買うほどでもないという中途半端なアイテムである。というわけで古着をリメイクしてベストを作れば節約になる。外国製のセーターは日本人には袖の長さが合わないことが多いけれど、袖が短すぎてつんつるてんになって恥ずかしいような場合は、いっそのこと袖を切り落としてニットベストにリメイクすると使い道が増える。私はCOOGIのセーターをもらったものの袖が短くてそのままでは着れず、かといってもらったものをすぐ売り払うのもくれた人に失礼なので、ニットベストにリメイクした。COOGIのニットはもともとほつれたような独特なデザインなので、遠目からみたら雑なリメイクでもあまり目立たない。ロックミシンなしでニットをきれいに縫うのは難しいけれど、仕上がりが雑になったところでジャケットを羽織って縫い目を隠せばよいのである。

・枕カバーを自分で作ると節約になる

古くなったバスタオルとか、もらいもので余った使い道のないタオルとかは枕カバーにリメイクできる。タオルの端を縫って袋状にするだけなので簡単である。冬は暖かいし、夏はよく汗を吸うので使い勝手がよい。市販の枕カバーはせいぜい500円くらいだし長く使うものなので買ってもよいのだけれど、安い枕カバーに気に入る柄や素材がない場合は自作でよい。
タオルをリメイクした枕カバーも使い古したら、さらに小さく切れば雑巾として使えるのでエコである。

・クッションカバーを自分で作ると節約になる

クッションカバーにファスナーをつけるのは採寸をちゃんとやらないといけないのでけっこう手間がかかる。他人に見せるものでないから本格的なものでなくていいという場合は、入り口を長めに作って折り返すタイプにしたり、ひもで閉じるタイプにしたりすると採寸しないで適当に作ってもなんとかなるので簡単である。
冬に使っていた毛布を夏の間にずっと押し入れに入れておくと場所をとるので、折りたたんでクッションの中身として使う方法もある。その場合は毛布にダニやカツオブシムシがわかないようにときどき天日干しをしたりして手入れする必要がある。古くなったダウンジャケットやフリースも丸めてクッションカバーに入れればクッション代わりになる。

・かばんやポーチを自分で作ると節約になる

買い物袋にするトートバッグや小物入れのポーチ程度なら古着のリメイクで割と簡単に作れる。古着のポケットやファスナーをそのまま活かす形でリメイクして収納が多い魔改造かばんを作ったり、自作トートバッグの裏地にビニールのショップ袋を使って防水仕様にしたり、いろいろ工夫の余地があるので枕カバーとかの単純なものよりも作りがいがあって面白い。ただしかばんは外出の時に持ち歩くもので見栄えの良さと実用的な耐久性が必要なので、よほど器用でなければ自分でかばんを作るメリットはあまりない。わざわざ布地を買ってかばんを作るのでなく捨てるような古着をリメイクするようにすると多少は節約になるし、裁縫スキルも上達するのでお勧めである。

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私はゴミ捨て場でぼろぼろのルイヴィトンのバッグを拾って、汚れていない部分をつぎはぎして手縫いでリメイクしてみたけれど、針が2回折れるくらい生地が堅くて大変だった。近くで見ると手縫いの跡がジグザグでひどいけれど、散歩のときに小銭入れとスマホを入れておく程度ならこんなもんでも役に立つ。取っ手の付け根の金具にストラップをつけて肩からつるすこともできるすぐれものである。

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レザークラフトはあまり節約にならないかもしれない

革は普通の家庭用ミシンでは縫えないので、レザークラフト用の専用の道具や、革縫い用の工業ミシンが必要になる。柔らかい革を家庭用ミシンで縫おうとすると、布送りのギザギザの部分が革とかみ合わなくて革をうまく送り出せなくて縫い目が詰まってしまう。プロは革の下に薄い紙を敷いて滑り止めにして縫うらしいけれど、面倒くさそうである。厚くて固い革を家庭用ミシンで縫おうとすると針が折れるので試すまでもない。レザークラフトの手縫いセットが一番安いのだけれど、それでも設備投資や材料費に1万円くらいかかるし、サイフやカバンを縫うにしてもよほどうまく作らない限り市販のものを買うほうがコスパがよいのであまり節約にならない。でもカシメとかリベットとかのレザークラフトの装飾テクニックは普通の裁縫にも使えるので、ワンランク上のリメイクをしたい人はレザークラフトをたしなんでも損はない。器用な人は革に絵を描いたオリジナルスマホケースを作って販売しているけれど、スマホケースはデザインが豊富なレッドオーシャンなので素人が商売にするのはなかなか厳しい。

私はリーマンショックの時にこれからは荒くれ者が増えるからとげ付きパッド職人になろうと思って、レザークラフトの練習として浅草橋のAnd Leatherで100円のハギレを買って革の胸当てを作ってみた。胸はチャックで開閉出来て着脱がらくちんで、肩のエポレットにとげ付き肩パッドを取り付けたり取り外したりできる実用的なデザインで、防御力も+5くらいあって凶暴な野良猫に蹴られてもへっちゃらである。手縫いで10時間くらいかけて胸当てを作ったので原価と作業賃で50ゴールドくらいはもらわないと割りに合わないけれど、平和な時代なので買ってくれる冒険者がいなくて赤字である。そういえば世紀末はまだだいぶ先で、時代を先取りしすぎた。もし異世界防具屋のおやじに転生したらとげ付き肩パッドを売りさばいて大儲けしてみたいもんである。